第6回 相続ってどういうもの?
2014.02.17 Mon
次の事例をもとに、相続とはどういうものか見ていきましょう。
事例
母親はすでに他界していて、父親も亡くなってしまいました。そこで、一緒に住んでいた長男が跡取りだから父の残した遺産全部を相続したいと主張してきました。
この場合、長男の主張通りにしなければいけないのでしょうか?
民法では、相続とは、ある人が亡くなった時にその人(被相続人といいます)の財産的な地位を、その人の相続人が受け継ぐことを相続といいます。
つまり、相続とは被相続人の死亡により相続人が遺産を受け継ぐことをいいます。
受け継ぐ遺産には、土地、建物、株式、預貯金等の積極財産と、借金等の消極財産の両方があります。そのため、積極財産だけ相続して、消極財産は相続しないということは出来ません。
現行の民法では、旧民法で定められていた家を受け継ぐと言いう制度、家督相続は廃止されており、遺産を受け継ぐ遺産相続のみです。
そのため、今回の事例のように、跡取りだからとか、家を継ぐからという理由で長男が親の遺産すべてを相続するということは認められていません。
(相続人全員の遺産分割協議で長男すべてに積極財産をすべて相続させることは出来ます。)
では、夫が亡くなった場合、相続人となる者は誰なのか見ていきましょう。
配偶者は常に相続人となります。次に、被相続人に子がいれば子が配偶者とともに相続人になります。この時の相続分は、配偶者が2分の1、子も2分の1です。なお、子が複数いる場合は、2分の1をこの数だけ均分します。
子が一人の場合
子が二人の場合
子がいないときは、配偶者と直系尊属(親、祖父母、曽祖父母など)が相続人になります。この時の相続分は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。なお、直系尊属が複数いる場合は、子の時と同じように、3分の1を均分します。
子も直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が配偶者とともに相続人となります。この時の相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
法定相続分の修正
法定相続分は、特別の場合にこれが修正されます。
まず一つ目に、被相続人が遺言で、相続分を指定した場合で、これを指定相続分と呼びます。
二つ目に、相続人の中に被相続人から生前に贈与を受けていたり、または、遺言で遺贈を受けていた場合は、その分につき特別受益として法定相続分から差し引くことが出来ます。
三つ目に、相続人の中に被相続人の財産の増加もしくは維持に寄与した者がいれば、相続財産から寄与分を差し引いたものを相続財産とみなした上で、各相続人の相続分を算定し、寄与をした者には、これに寄与分を加えたものを相続分とします。