相続人に相続させない方法はあるのかな?
2022.04.17 Sun
自分の事を侮辱したり虐待をする子には、自分の財産をどうしても相続させたくありません。何か方法はあるのでしょうか?
民法では、相続欠格と相続廃除の制度によって、相続人となる資格のはく奪を認めています。相続欠格は、一定の不正事由があれば、被相続人の意思とは無関係に法律上相続権がはく奪されます。一方、相続人を廃除する場合は、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所の調停もしくは審判によってその相続権のはく奪が決定されます。以下、詳しく見ていきましょう。
◇相続欠格
相続欠格とは、相続人が次の欠格事由に該当する行為をした場合は、法律上当然に相続権を失う制度です(民法891条)。
①故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位の相続人を死亡するに至らせ(殺人罪)、 または至らせようとした(殺人未遂罪)ため、刑に処された者。
②被相続人が殺害されたことを知っていたのにこの事を告発、または告訴しなかった者(ただし、その者が是非の弁別がないとき、または、殺害者が自分の配偶者、直系血族であったときは除く。)
③詐欺、または、強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回させ、取り消させ、または、変更する事を妨げた者。
④詐欺、または、強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者。
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者。
これら5つの欠格事由のいずれかに該当する相続人は、相続権を失います。また、受遺者として遺贈を受けることも出来ません(民法965条)。ただし、この該当する相続人の子が代襲相続人として相続することは出来ます(民法887条2項)。
◇推定相続人の廃除
①推定相続人の廃除の概要
推定相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待、重大な侮辱を加えたとき、または、推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人の請求により、家庭裁判所が相続権をはく奪する事が出来ます(民法892条・同893条)。このことを推定相続人の廃除といいます。
なお、推定相続人とは、相続が開始したときの最優先順位の相続人のことを指します。そのため、次順位の相続人(子や配偶者がいるのに両親や孫など)をあらかじめ廃除することは出来ません。また、兄弟姉妹は遺留分を有しないため、廃除の対象とはなりません。
②推定相続人の廃除の方法
推定相続人を廃除するには、被相続人が生存中に家庭裁判所に請求する方法(民法892条)と、被相続人の遺言に基づき遺言執行者が家庭裁判所に請求する方法(民法893条)の2つがあります。推定相続人の廃除の申立を受けた家庭裁判所は、具体的状況を考慮して廃除事由の該当性を慎重に審理して廃除するかどうかを決定します。
推定相続人の廃除が認められた場合は、廃除を請求した被相続人もしくは遺言執行者は、廃除確定の日から10日以内に市町村長の戸籍を担当する課に相続人の廃除の届け出をしなければなりません(戸籍法97条・同63条1項)。
③推定相続人の廃除の効果
調停の成立または審判の確定によって廃除された相続人は相続権を失います。ただ、相続欠格のときと同じように廃除された相続人の子が代襲相続人として相続することは出来ます(民法887条2項)。
相続欠格とは異なり、廃除が確定しても、被相続人はいつでも、推定相続人の廃除の取り消しを家庭裁判所に請求することが出来ます(民法894条)。相続欠格は、欠格事由に該当すれば、当然に相続権を失い、回復しません。
また、廃除者が受遺者となることは出来ます。この点も相続欠格とは異なります。
苫小牧の相続のことなら弊所にお気軽にご相談下さい。弊所(司法書士・行政書士)で対応出来ない案件は、弁護士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士等のパートナー士業様をご紹介いたしますので、「どこに相談に行けば良いのだろう??」というご心配は無用です。