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相続人の中に行方不明者がいる場合はどうすればいいの?

2022.04.15 Fri

 

 相続人の中に行方不明の者がいる場合、戸籍の附票で住所地を調べることが出来ます。ただ、住所地にもいない場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立てを行い、選任された不在者財産管理人と相続手続(遺産分割)を進めていくことになります。

以下、手続きの内容を詳しく見ていきましょう。

 

 

◇音信不通の相続人の住所を調べる方法

 

 音信不通の相続人の住所が分からない場合は、本籍地を調べて、戸籍の附票を請求することで、住所を知らべる事が出来ます。戸籍の附票とは、本籍地の市区町村で戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍がつくられてから現在に至るまで(もしくは、その戸籍がつくられてから除籍されるまで)の戸籍に在籍している者の住民票上の住所の履歴が記録されています。

 戸籍の附票を請求する事が出来る人は、本人またはその配偶者、父母、祖父母、子、孫などの直系の親族です(住民基本台帳法20条)。これらの者が請求するのが難しい場合は、専門家(弁護士、司法書士、行政書士)に依頼して、代行(職務上請求)することも可能です。

 なお、請求先の市区町村で除籍になっていた場合は、転籍後の本籍地に改めて戸籍の附票を請求しなければ現住所を特定する事はできません。転籍先の市区町村で現住所を特定出来たら実在しているか調査をします。

 調査の方法は、実際に赴く方法、郵便物を送付する方法、探偵に調査を依頼する方法などがあります。探偵の調査は少しハードルが高いため、一般的には、実際に現地に行くか、多くは郵便物を送付して実在しているかどうかを確認します。郵便物を送付して、郵便物が無事に届けば実在している可能性がありますが、「当てどころに尋ねあたりません」として、郵便物が戻ってくれば、実在の可能性はほぼ無いと言えます。

 

◇不在者財産管理人の選任申立て

 

不在者財産管理人

 

 調査して相続人の実在が確認できない場合は、相続手続(遺産分割)をするために、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任申立てを行います(民法25条)。

 不在者財産管理人とは、行方の知れない者(不在者)の財産の管理、保全が本来の業務となります。通常の権限として、遺産分割をすることは出来ません。そこで、家庭裁判所に権限外行為の許可を得たうえで、不在者に代わって遺産分割協議に参加します(民法28条)。

 不在者財産管理人の選任申立ては、不在者の最後の住所地もしくは、居所地の家庭裁判所に対して申立てします(家事事件手続法145条)。申立てが出来る人は、利害関係人と検察官です(民法25条)。ここでいう利害関係人とは、不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者などです。なお、不在者財産管理人は通常は親族もなれますが、遺産分割が必要で申立てをしてた場合などは、利益相反の関係から、相続人が不在者財産管理人にはなることができません。

 また、不在者財産管理人の仕事は、遺産分割を目的として選任申立てしたとしても、遺産分割が終了したから終わりではなく、不在者が現れたとき、不在者の失踪宣告がされたとき、不在者の死亡が確認されたときまで不在者財産管理人の仕事は続きます。

 なお、不在者に相続財産を渡したくないと不在者以外の相続人が考えていたとしても、不在者には法定相続分相当の財産を確保しなければ家庭裁判所の許可がおりず、遺産分割協議をまとめることは出来ない点に注意が必要です。

 

◇失踪宣告制度の利用

 

 

 不在者に相続分を渡したくない場合、不在者の行方不明の期間が7年を超えている場合など、失踪宣告の要件を満たす場合は、失踪宣告の制度を利用する方法があります。(以前ご紹介した「相続は亡くなったときだけ発生するの??」でご説明していますのでご覧ください。)

 不在者の相続人について失踪宣告の申立てを行なうことで、不在者を亡くなったものとみなして遺産分割協議をすることが出来ます。ただ、失踪宣告がされると、その不在者は死亡したものとみなされるので、親族の心情として申立てに踏み切れない場合もあるかと思います。そのような場合は、失踪宣告の要件を満たしていても、あえて失踪宣告の申立てはせずに、不在者財産管理人の申立てを行う方が良いかもしれません。

 

 

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