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相続財産(遺産)はどのようにわけるのか?

2022.04.07 Thu

 相続が開始した場合、亡くなった方が所有していた財産は相続財産として遺産分割する事になります。

 まず、相続人と相続財産の調査をして、相続人が誰なのか、遺産はどのくらいあるのかを確定させます。次に、遺言書があるかどうかを調査して、遺言書があればその内容のとおりに遺産分割を行います。遺言書がなければ、相続人で遺産分割協議(話し合い)をして、話し合いがまとまれば、その内容に沿った遺産分割協議書を作成します。もし、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所をとおして調停、調停でもまとまらなければ審判をして決めていくことになります。

 全体的な流れは次の図の通りです。

 

 では、具体的に手続きの内容をみていきましょう。

 

 遺産分割協議をする前に行うこと 

 

 

 ①相続人の範囲の調査

 遺産分割協議に誰が参加することが出来るのか相続の関係者を確定する必要があります。そこで、     亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等を取得して、被相続人の家系図(相続関係説明図)を作成します。

  次に誰が相続人になるのかを家系図をもとに確定させます。

  (1)第一順位の相続人は、配偶者と子

  (2)第二順位の相続人は、配偶者と直系尊属(父母、祖父母)

  (3)第三順位の相続人は、配偶者と兄弟姉妹

 相続人が確定したら遺産分割協議をします。この協議にはたとえ疎遠な関係者であってもこの協議に参加しなければなりません。もし、法定相続人の誰か1人でもかけた状態で協議をした場合は、その遺産分割協議は無効となり、再度、法定相続人全員で遺産分割協 議をしなければなりません。

 なお、法定相続人ではなくとも遺産分割協議に参加させる必要がある人がいます。それは、遺言で「遺産の何分の何を与える」など遺産の割合を指定するのみで、目的物を特定していない場合です。この様な人を包括受遺者といい、遺産分割協議に相続人ではなくと も参加させなければなりません。

  

 ②相続財産の範囲の調査

 相続人の範囲の確定ともうひとつやらなければならないことが、相続財産の範囲の調査です。範囲といっていますが、ようは遺産にはなにがあるのかを確定させることです。この調査を遺産分割協議の前にしっかりしておかないと、協議後に遺産が新たに見つかった場合は、再度遺産分割協議をしなければならないことになってしまいます。

 

 遺言書の有無の確認

 

 被相続人は、遺言書で誰にどの財産を相続させるのかまた遺贈させるのかを指定することが出来ま。また、遺産分割の方法を第三者に委ねることも出来ますし、相続開始から5年を超えない範囲で遺産分割を禁ずることも出来ます(民法908条)。遺言書で遺産分割の方法を定めている場合、遺留分を侵害していない限り、その内容のとおりに遺産分割をします(民法902条1項)。

 そのため、遺言書があるかどうかを遺産分割協議の前に調査する必要があります。

 

 遺産分割協議

 

 遺言書がなかった場合、法定相続人全員で遺産分割協議を行います。この協議では、具体的に誰がどの財産を相続するのかを話し合います。

 法律上は「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」とされています(民法906条)例えば、相続人の一人が事業を継いだ場合などに、その相続人に事業に関する財産を、ほかの相続人に事業と関連の薄い財産を分配するなどです。

 もちろん、誰か1人に全部を相続させて、他の相続人は放棄するという内容も可能です。

 なお、話し合いの方法は、相続人全員が集まる必要はありません。電話、メール、LINEなど適宜の方法を利用して話し合いをしても構いません。誰か1人が遺産分割の内容を提案して、他の相続人全員がそれに合意すればそれで協議は成立します。

 遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、「被相続人の氏名、本籍地、最後の住所、生年月日、死亡日、相続財産、相続人など」が特定出来るように詳細に記載し、相続人全員の署名押印(実印)をする必要があります。

 

 遺産分割協議が成立しない場合

 

 相続人などの関係者で遺産分割協議が成立しない場合、このままでは遺産を分けることは出来ませんので、家庭裁判所をとおして遺産分割の方法を決めていくことになります。

 

 ①遺産分割調停の申立

 まず、家庭裁判所に遺産分割調停の申立(家事事件手続法49条1項)を行うのですが、これは、相続人全員を裁判所に呼び、裁判所の裁判官1名と調停委員2名を通じて、対立する相続人それぞれから事情を聞いて、お互いの妥協点を探るという方法になります。

 このように裁判所で第三者を交えて協議することで、相続人間の感情的な衝突や無理な 主張をする相続人を説得させて解決することが出来る可能性があります。

 調停が成立すれば「調停調書」という裁判所作成の公文書に、その合意された内容が記載されます。この調停調書には、確定判決と同じ効力(家事事件手続法268条1項)がありますので、遺産分割協議書の代わりになります。

 

 ②遺産分割の審判

 遺産分割調停が整わない場合は、調停不成立となり、次は、遺産分割審判の手続きに進みます。(家事事件手続法272条4項)この手続きでは、裁判官が相続人の意思には関係なく、提出された資料などから誰にどの財産を相続させるかを決定します。

 この結果は「審判書」という裁判所作成の公文書に記載されます。これが遺産分割協議書の代わりとなります。

  

 ③遺産分割審判に不服がある場合

 遺産分割の審判では、裁判官が相続人の意思に関係なく遺産分割の方法を決めてしまいます。そのため、相続人の中には審判の結果に不満をもつ人もいるかもしれません。

 この場合、その相続人は審判の内容に不服があるとして、審判結果の告知を受けてから2週間以内に高等裁判所に即時抗告をする事が出来ます。(家事事件手続法85条1項、同86条1項)即時抗告がなされると、家庭裁判所での審判は確定せず、今度は高等裁判所で、誰がどの様に遺産を相続するのかが審理されることになります。

 

 以上が、遺産分割の流れの概略となります。

 

 

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