第2回 隣人が境界線ギリギリに建物を建築してしまいました。慰謝料は請求できますか?
2014.01.18 Sat
隣人が境界線ギリギリに建物を建築してしまいました。慰謝料は請求できますか?
前回お話しした民法第234条第2項では、「隣地の所有者はその違反建築の廃止もしくは変更を請求することが出来ると規定されています。」しかし、今回はすでに建物が建築されてしまっていますので、この規定に基づく建築の廃止もしくは変更の請求はすることが出来ません。そこで、次に考えられるのが違法建築に対して慰謝料請求できるかどうかになります。
今回のように民法の規定に違反して境界線ギリギリに建物を建築されたことによって、圧迫感を受けたり、日照の問題や通風の被害等が生じていれば慰謝料の請求が認められる可能性があります。
●お互いに距離制限に違反している場合
ただし、ここで注意しなければならないことがあります。それは、慰謝料を請求する側も民法第234条の規定に違反して境界線から50㎝以上離して建物を建築していない場合です。このように請求する側も自ら距離制限に違反しておきながら、隣人に対しては境界線からの距離制限違反を理由に建築の差止めや変更などを請求することは不公平ですよね。
そのため、距離制限に違反している者同士では、距離制限に違反していることを理由に建物の撤去を求めたり慰謝料を請求したりすることは基本的には認められません。
●慰謝料請求が認められたケース
お互いに距離制限に違反している場合でも、一方の違反の程度が著しい場合等、圧迫や日照、通風の問題が深刻で社会通念上受忍すべき限度を超えて被害が生じている場合は慰謝料の請求を認めた例があります。