生命保険は相続財産になるのかな?
2022.04.27 Wed
父が他界しました。父は生命保険をかけていたようです。この生命保険金は誰が受け取ることができるのでしょうか?また、生命保険金を受け取るには遺産分割協議は必要なのでしょうか??相続税課税の対象となるのでしょうか???
◇遺産分割との関係
①原則は、遺産分割の対象外
生命保険は、保険契約によって受取人がうけとるものであるため、受取人固有の財産として評価されます。したがって、生命保険金は遺産分割の対象とは通常なりません。通常は、保険契約で定められた受取人が生命保険金を受け取ることになります。
また、受取人が指定されていない場合や受取人が相続発生前に死亡していた場合などに関する保険契約の内容が民法の法定相続人や法定相続分の定めと一致するとは限らず、例えば、配偶者と子がいる場合でも、配偶者のみが受取人となることもあります。受取人が誰になるのかは各保険会社の約款によります。なお、相続放棄をしても死亡保険金を受け取ることは出来ます。
②例外として遺産分割の対象になる場合
保険契約者=被保険者=保険金受取人という保険契約の場合には、保険契約者である被相続人が死亡することで、相続人が受取人となり生命保険金請求権を相続財産として得るという考えのもと、相続財産となるという考え方もあり、未だ議論されているところです。ただ、現在はこのような保険契約者=被保険者=保険金受取人という保険契約自体がまれです。
③特別受益について
被相続人から特別に多く利益を受けていた相続人がいる場合、単純に法定相続分で分割すると不公平になる可能性があるため、それを是正するために相続割合を調整する特別受益という制度が民法にあります(民法903条)。そのため、受取人固有の権利として受取人が生命保険金を受け取った場合、その金額があまりにも高額である場合には、特別受益に準じて相続割合が調整される事があります(詳細は、次回掲載予定の「生命保険金を受け取ると相続できる財産は減ってしまうの?」で解説します。)
◇相続課税との関係
生命保険金は、受取人固有の権利として遺産分割の対象とはなりませんが、相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります(相続税法3条1項1号)。
ただ、生命保険金全額が課税対象となるものではなく、500万円×法定相続人の数(相続放棄した人も含めて数えます)の金額については、非課税となります(相続税法12条1項5号)。
また、生命保険の契約者・被保険者・保険金受取人が誰かによって、相続税ではなく所得税や贈与税の課税対象となることもあります。