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相続で死亡退職金はどのように扱われるの?

2022.05.01 Sun

 死亡退職金は、会社の社内規定に従い受取人が決まっています。そのため、遺産分割協議は必要ありません。ただし、社内規定がない場合は異なる取り扱いになることもあります。以下、詳しく見ていきましょう。

 

◇遺産分割協議は必要か?

 

 

①原則として遺産分割協議は不要

 死亡退職により支給される死亡退職金は、主として遺族の生活保障を目的としていると考えられるため、受給者固有の権利として評価することが出来ます。したがって、死亡退職金は遺産分割の対象とはならないのが原則です。この場合、社内規定で定められた受取人が死亡退職金を受け取ることになります。社内規定は必ずしも民法の定めと一致しているわけではなく、民法上の法定相続人や法定相続分と異なる場合があり、例えば、配偶者と子がいる場合でも、配偶者のみが受取人となることもあります。また、相続放棄した者でも死亡退職金を受け取ることは出来ます。

 

②遺産分割の対象となる場合

 死亡退職金について、社内規定がない場合は、当然に受給者固有の権利として評価出来るのかどうかという問題が出てきます。この場合、被相続人の功労報酬や慰労金を目的としていると考えることも出来ます。そのため、具体的事情を考慮して、相続財産として遺産分割の対象となる場合があります。その場合は、遺産分割協議で受取人となったものが死亡退職金を受け取ることになります。

 

③特別受益との関係

 被相続人から生前、特別に多く利益を受けている相続人がいる場合、単純に法定相続分で分割すると不公平になる可能性があるため、それを是正するために相続割合を調整するのが特別受益という制度です(民法903条)。

 そのため、受給者固有の権利として受取人が死亡退職金を受け取った場合に、その金額があまりにも高額な場合は、特別受益ないしこれに準じるものとして相続割合が調整される可能性があります。

 

◇相続税課税との関係

 

 死亡退職金は、受給者固有の権利として遺産分割の対象とならない場合でも、税法上は「みなし相続財産」として課税対象となります(相続税法3条1項2号)。

 なお、死亡退職金の全額が課税対象とはならず、500万円×法定相続人の数(相続放棄した者も含む)の金額については非課税となります(相続税法12条1項6号)。

 

◇弔慰金・生前退職したときの未支給退職金の取扱い

 

①弔慰金(亡くなった者を弔い、遺族を慰めるために送られるもの)

 弔慰金は、被相続人が有していた財産ではないので、遺産分割の対象とはならず、相続税の課税対象ともならないのが通常の取り扱いです。ただ、下記の金額を超える部分については、実質的に死亡退職金と同様であるとして、死亡退職金と同様の取り扱いになります(相続税法基本通達3-20)。

(1)被相続人が業務上死亡した場合

 被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額

(2)被相続人が業務上死亡でない場合

 被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額

 

 

②生前退職したときの未支給退職金

 生前退職の場合には、退職金は相続人が有していた財産となるので、通常の金銭債権と同様に遺産分割の対象となります。また、相続税の課税対象にもなります(非課税規定の適用もなし)。なお、相続税課税との関係では、生前に退職したが、退職金額が確定する前に被相続人が死亡し、その死亡後3年以内に退職金額が確定した場合には、例外的に、死亡退職金と同様の非課税規定の適用があります(相続税法基本通達3-31)。

 

 

 

 

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